現実(リアル)-大切な思い出-
「‥いえ。たいした物ではありませんから」


「そうか、ありがとう。さすがは君の子どもだな。堂々としていて賢そうだ。将来が楽しみだな」


「ありがとうございます」
お父さんはそう言って、満足げに頭を下げた。


私は、自分の物ではなくなってしまったペンダントから、目を離すことができなかった。





我慢には慣れていたけれど、それでも今回ばかりは、冷静では居られなかった。


私はパーティーが終る頃、逃げ出すように家を出た。

薄着のまま出てきたせいで寒かったけれど、それよりも早く、何処かへ行きたかった。

行き先が決まっていたわけではない。

そのため、家ではない何処かを求めて、夜の街をさまよった。

まるで泣き場所を探すかのように…。
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