現実(リアル)-大切な思い出-
「‥何しに来たの?」


声にした音は、あまりに震えていて、情けなさに涙が出そうになった。

しかし、ここで泣くわけにはいかない。

俺は必死だった。


「質問に答えなよ!何でここに来た!?」


「‥言ったはずだ。次は俺から逢いに行くと…」


その答えは嬉しくて、悲しくて‥更に俺の涙を誘った。


「はっ、なるほどね」

俺は、最低な笑顔を火月に向けた。

「で、具体的には何しに来たの?お前に何ができるの?こんな場所で何が…」


言葉は続かなかった。


続けられなかった。


何が起きた?


「ごめん」


自分が抱きしめられていることに気付いたのは、その言葉を聞いてからだった。

しかしそれでも、俺は火月の言葉と行動が信じられなかった。


「ごめん」


「何で…」


何故謝るのか‥俺には理解できなかった。

どうして‥どうして‥それしか考えられない。
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