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 下界では、白い煙 すする音や咳払いをしていて 人は、みな黙って
一定の方向を向いていた。
三百二十人余を飲み込んでいる新宿歌舞伎町五階のゴーストオデヲン。
真夜中 夏の夜長。 映画カンバックキャンペーンで臨時に午前0:00に主催する
恐怖映画だった。

一階の入場扉は、閉められて電気も消灯。
世間の人々は、関心が有るとみえて宣伝をしないシークレット映画でも満席だった。 IT社会だからか!?
 恐怖映画の三本立てが始まってから二時間。

 厚手のゴム手袋から、フィルム張りでフラットタイプの競技用飛行機がプロペラを回して放たれた。
 ゆっくりと室内の上空を中央に向かい進んで行く。 プロペラも回る。
 時間がそこだけ止まっているようだった。
 部外者立ち入り禁止の映写室内では、二人の死体と四人の宇宙服を着た奴がいた。

 皆 競技用プロペラ機の動向を一心に見ている。
 プロペラ機は、改造されていた。 胴体 主翼 水平尾翼がわずかに凹んでいて そこに白い微粒粉が乗せて有った。
 進んで行く風力で、少しずつ下へ落ちて舞って散っていく。

 空中では、音も無く ゆっくりとプロペラ機が室内を旋回し、進んで行く。
 秘密裏に行われた国家!?の細菌兵器 { 魔集フェロモン・D19-1615184 }の試作テストだった。
映像が流れていく中、映写室内では、ガスマスクの呼吸音が微かに響き渡っていく。

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