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「・・・・・お・や・す・み」
「お・や・す・み・・・・・・」
「・・・・・・Good night・・・・・・」

アメリカ合衆国 A都市 某テレビ局 15階 初夏。
「アーン、もうっ」 飛ぶ鳥 落とす勢いの美人ダンサー歌手
ピュアリア・モーアが、《スタードッキリ》というTV番組で騙されて、
思い出しては、怒っていた。
「フフッ、可愛いかったわよっ」 仲のいい年上のマネージャーのリンナが、モーアの顔を見て、いたずらっぽく軽く微笑んで見せていた。
「もうヤダッ・・・もう・・・ハハッ・・・悔しい・・・」

「アッ、御免 さっき言われた アロエミックスジュース買うの忘れてた。
 直ぐそこの販売機で買ってくるねっ。!!!」
「うん、じゃ私 先にエレベーターで下に降りてるっ。待ってるねー。」
 タイミングよく開いたドアに乗り、振り返って見ていないリンナに手を小さく振っているモーアが、そこにいた。

 エレベーターの奥は、ガラス張りで都市が一望できるように成っていた。
『閉じる』のボタン押し、ドアが閉まる。
 リンナは、小走りでエレベーターの所迄きていた。(あれ、まだ15階待っててくれたのかなー!?)

『下がる(↓)のボタンを押そうと右人差し指を伸ばす。
 気持ちとは、裏腹にエレベーターの扉が指が届く手前で開いた。
「キャーァー・・・」 二人とも同じ叫び声を発していた。
 床に手荷物が落ちる。
モーアは、透明がかった紅いシールドに包まれ 中で燃え苦しんでいた。

 ボーッ 体は、舞い踊るが紅布が、まとわり付き 皮膚や肉が朽ち落ちていく。
「助けてぇー・・・」 右手を差しのばす。
 リンナも右手を伸ばし、シールドの中に手を入れた。
ボーッ 一瞬にして焼け、手首だけに成った。
自らの手首を見る。
「キャーッ」  
 そしてリンナは、失神した。
 モーアは、床に崩れ、紅いシールドは、無くなった。

 叫び声にビックリしたスタッフたちが、リンナの方に近寄って来る。
 エレベーター内には、倒れた人型と白い灰だけが残っていた。
 そして、黒く焼け焦げた後も全く無く 以前と変わらないエレベーターが、そこには、あった。
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