topic・トピック
 すると ゆっく〜りと右手を彼女の前に持っていき、指をしなやかに動かし始めた。 
「ハンドパワーです」
 彼女の左手を取っていき、右手をその上にそっと乗せた。
「エターナル ラブ」
 二人とも目をつむって唱えた。 
 時が経つ。
 コポッ、チャリーン。
 音と共にゆっくりと目を開けた。
「えっ、ええ〜・・・・・・!?」 
 人差し指を唇にあてる裕紀。
「シー」
「シー・・・・・・!?」
 二人 同じ仕草だった。 変に見えていた。
 しかし、ワイングラスの中には、輝きを放ったダイヤの指輪があった。
「俺からの婚約指輪。
受け取ってくれる」
 目を合わせた。
「うんっ」

 沙織は、自宅のアパートに帰って浴室でシャワーを浴びていた。
「フッ、フフフッ〜フ〜・・・・・・」
 流行の『恋の唄―mirai―』を鼻で奏でている。
 長い髪をタオルで拭き、別のバスタオルで胸から腰までを隠し、洗面台に向かった。

 魔法の箱が輝き始める。
 髪に整髪料を付けたり、ブラシを通したり、顔に美顔ローションを薄く付けたりして美容に手をかけてから、部屋に向かった。

 微妙な香りを放つ。

 パソコンを立ち上げる。ネットサーフィンをして楽しむ。 ミス・キュートでショッピングモールを歩いて楽しむ。

 見て判る位の赤橙黄緑と色を美しく変えていく。

 沙織の鼻に微妙で悪魔的な甘い香りが届く。
 フッフッ、嗅覚を刺激し、脳へ。 目を瞬かせる。元を探し始めるように、顔を左右に軽く振って捜した。

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