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 ニャーオッ、ニャーォッ。 子猫の鳴き声で沙織を導く、誘い入れる、引き込む。
「えっ・・・・・・!?、この箱・・・・・・!?」
 耳を近付ける。
 ニャーォッ。
「エ〜ッ、なに、ナニッ」
 楽しげに微笑み、紺の箱をゆっくりと開ける。
 小さい小さい猫が姿を見せる。
 ニャーオ〜。 ニャーオッ、ニャーォッ。 声が小さく成っていく。 

 ミシッ、ガラスや壁がきしむ・・・!・・・?。
 目を剥く沙織、首や口や胸をおさく。 そして倒れた。 呼吸が出来なく成っていた。 
 手を伸ばし、助けを求める、眉間にシワを寄せる、涙目に成る。 床に寝て左右に体を曲げる。 顔色が変わっていく。
 足をバタバタさせ、涙を流し、手を伸ばし、大きく口を開けた。 しかし、声は、出なかった。
 
 手足には、何も当たる物が無かった・・・。 体は、中空に浮いていた・・・。  足元の方に見覚えのあるベランダが見えていた。  そして目を疑った。
 猫とも蛇ともとれる異様に大きく気持ち悪い唾の伸びた化け物に体ごと大口に飲み喰われた。 無数の黒い雨が死神の線が上下から突き刺さる。

「キャー・・・・・・!?」
 目をひん剥く、バリッ・バリバリッ、バ・ッ・シ・ャ・ー・ン。
 一瞬にしてアパートの外壁や窓ガラスが粉砕した。 スローモーションで沙織を襲う。 脳内をよぎる。《暗闇の隅のグレーゾーンでタダナラヌモノが着火する》 煙が火をつたって一瞬で広がる。

 ドカーン。 炎が沙織やガラスや混砕と共に燃え移り、広がり、プチ太陽のように成った。 炎の破片と黒い灰が、下界のアスファルトに落ちて行く。
 ガラス細工のイソギンチャク!?が沙織を飲み込んだ。
《黒くタダレタ魔手がエサを奪いあう》

 洗面台のガラスが曇り、三角の図形が!? ヒモが動く!? そして消えた。
 
 ウィ〜ン、ウィッ、ウィ〜ン。

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