さよならの十秒前
「うん」

「少し話したらね、お母さんあの男の子に、奈緒の代わりにメールをしていたらしいの。奈緒が死ぬ少し前に」

「…?」

紗枝の顔を見る。

どういうこと?

「五通、送ったらしいの。奈緒の携帯から」

「…亡くなる前に?後じゃなくて?」

「うん」

「…内容は?」

紗枝が私を見つめ返した。

「北の大地、南の海も、それに入ってた」

…どういうことだ?

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