さよならの十秒前
「僕が、島井さんのことを、ナオって呼べる日が来たら」

私の手が、ゆっくりと修介から離れる。

「そうしたら僕は、胸を張って君の前に立てるかもしれない」

坂井奈緒と同じ名前を。

素直に、呼べる日が来たら−…。

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