さよならの十秒前
西野も女子も、学校にほとんど来ていない坂井奈緒とは面識がないはずだ。

でも、泣く。

中学生は多感だなぁ。

どこか他人事のように、その姿を眺めていた。

すると。

「ねぇ。島井ナオさん、だよね」

私を呼ぶ、少し低い声に後ろを振り返る。

そこには、見ず知らずの茶髪男が立っていた。
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