臆病なサイモン
「一緒、帰らないの!?ね、ねっ!」
ダンゴの行く手を阻み、能天気でデリカシー皆無のダチンコはそう言って俺のほうに目配せする。
そんなダチンコにテキトーにウィンク返したけど、一体なんのサインだったのか全然わかんね。
「…ねーねー段さぁん」
つれないダンゴに、とうとうダチは最終兵器を発動させた。
声変わりも終わった男子中学生の猫なで声なんてもう、致死モン。
だけど、そんなんでダンゴが引くわけがない。
そんなだったら苦労してない。
ダンゴはゆっくりと首を傾げて、斜め四十五度から行く手を阻むダチをクーリッシュに睨み付ける。
ダンゴは目が細いから、睨むとスゲー怖くなる。
憐れなダチの冥福を祈る。
アーメン。
「…っ、」
そしてダチがたじろいだのを確認して、ダンゴは容赦なく氷の一言を放ったのだ。
「どけ、ガキ」
―――まぁ、「姫」と「ナイト」だったとして、明らかにミスキャストなのは確実だよな。