恋する笑顔【短編】
「あ…ども…」
とりあえずそう言うしか無かった。
いや、だって。
俺の顔を見たとたんの松永の引き攣り具合といったら。
嫌でも俺のことが嫌いなのだと分かってしまった。
たぶん俺、というよりは俺のような男、が。
そういうやつはめずらしくない。
だけど松永もそうだったんだと思うと、自分がひどく恥ずかしい人間に思えた。
「あぁ、何でもない。人が来ただけ。…え?うん……うん…」
俺なんか居ないとばかりに電話を続ける彼女を見て
その携帯電話を折ってやりたい気持ちだった。