恋する笑顔【短編】
学校に行っても、上の空だった。
ケースケが「またかよ、調子狂うな~」とかぼやいてたけど、そんなのは右から左へぬけていく。
「コウタ~今日元気ないじゃん?ウチらが悩み聞いたげるよぉ?」
空き時間のたびに話し掛けてくる女共が煩わしくて、いつも以上にうざったく感じた。
「別にねえよ、悩みなんて」
うぜぇ
「あれ~、もしかして機嫌悪いぃ?」
うぜぇ
「溜まってんなら、あたしヌいたげるよ?」
女が太ももを擦り寄せながら俺の唇に自分の唇を寄せて行く。
ヒュウ、と周りのやつがちゃかす。
女の胸が押し付けられ、唇があと1センチで触れるというところで、とてつもない嫌悪感に鳥肌が立った。
「やめろ」
低く呟き、女を引きはがす。
ぽかんとした顔をしている女を尻目に、俺は教室から立ち去った。