リベンジコレクション
 それはまさに予想の斜め上を行く提案だった。

反撃って……そういうこと?

「これが俺にできる提案だが……お前はどうしたい?」

 ソウは強要することなく、私に選択を委ねた。

私は、どうしたいんだろう。

ソウに見入っていた目をなんとか引き離し、視線を落として考えてみた。

きっとここで断っても、ソウは怒らないだろうし、きれいな女にしてほしいと言えばしてくれるかもしれない。

男装するつもりなんてなかったし、興味を持ったこともない。

けれど、ソウたちの話には抗いがたい魅力があった。

私が美女になったからといって、美人モデルに囲まれて仕事をするあつし君が、果たしてショックを受けることがあるのだろうか。

捨てたことを惜しいなんて思うだろうか。

美しさは人それぞれだ。

きれいになった私を日本一の美女だと99人が言っても、残る一人は美女と認めないかもしれない。

その残る一人があつし君だったら?

あつし君の性格を考えると、むしろそうなる可能性の方が高い。

私がここできれいにしてもらっても、最終的にあつし君がその美を認めなければ意味がない。

他の誰にきれいになったと言われても、あつし君がブスだと言えば、私はきっと納得できないだろう。

だったら――男なら?

かっこいいかどうかを判断するのは、男性という同じ土俵にいるあつし君じゃない。

第三者が判断することだ。

それに同じ土俵なら、あつし君に俺の方がかっこいいなんて言われたところで、鼻で笑える自信がある。
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