さうす・りばてぃー
「だらしないなあ」

 腰に手を当て、あきれたようにつぶやく星空。

「荷物重いし」

 地面に座り込み、ぜえ、ぜえと息を切らしながら言う。

「ゆうくん、私自分の荷物持つから、貸して」

 穂波が、俺の手から自分の荷物を引き取ってくれる。

 続いて見由も。

 それを見た星空も、仕方ないな、という表情で荷物を引き取った。

「普段運動してないから、そんなふうになるんだよ?」
 穂波が俺を諭すように言ってくる。

「悪かったな」

 情けないことだが、そのとおりである。

 体育の時間以外、ほとんど運動らしい運動をしてないのだから、毎日運動部で鍛えている穂波や星空、ましてや達也なんかにかなうはずがない。

 俺は列の一番後ろを歩いていた。

 みんなを見守るため、といえば聞こえはいいが、単に一番前を歩くほど体力がなかっただけである。

 ちなみに、列の一番前は、達也が歩いている。その斜め後方あたりに星空。そのすぐ後ろに穂波。

 ちょっと離れて見由がいて、最後に俺。

 山登りだけあって、みんな軽装で来ている。

 誰か一人くらいスカートをはいてくる猛者がいてもよさそうなものだが、期待に反して、俺も含めて全員パンツ姿である。

 当たり前といえば当たり前だが。

 上はそれぞれ違い、まず星空は動きやすそうな半袖のプリントシャツ。

 穂波は黒のノースリーブの上に、ブラウンのカーディガンを着ている。

 カーディガンは薄い生地でできていて、長袖だけど涼しそうだ。

 見由は、青ベースでリバーシブルのチェックシャツを着ている。

 彼女は白いつば入りの帽子をかぶっていて、その帽子がちょうど俺が手を曲げた位置にあるので、思わず頭を撫でたくなる。

 というか、ここにくるまでにもう3回は撫でた。
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