君に許しのキスを
ガチャリ、と音をたてて、玄関の扉が開いた。



周と、もう一人の女子高生だ。
手を繋いでいる。


やっぱりな、そう感じた。
その根拠は何もないが。



周は部屋に入るなり俺を見て、
「起きたか。」
と声をかけてくる。


「ああ、おはよ。」
と俺が言うと、女子高生がぱたぱたと寄ってきた。


「あのっ、昨日はご迷惑おかけして、本当に申し訳ありませんでした。」
そう言って、ぺこりと頭を下げる。


俺はとりあえず、「はあ」と返す。

たっぷりと眠ったせいか、昨日のこと自体はもうあまり気になっていなかった。
だからこの謝罪にどう返すべきか、判断しかねたのだ。

というか、この子は本当に昨日のあの震えていた子と同一人物なのだろうか。
そのあまりの変貌振りに、戸惑った。
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