君に許しのキスを
村西がかすれた声で聞いた。


「…聞かないの?
なんで、こんなふうになるのか。」


「聞いて欲しいなら、聞く。
けど、言いたくないなら、言わなくていい。」



俺にだって、人に言いたくないこと、言えないことはある。

そう続けようとしたが、何故だかうまく言葉に出来なかった。
苦しそうに、声を出さずに泣く彼女の顔が、まだ、俺の胸の中にあったからだろうか。



再び、背中に手を回す。
出来るだけ、優しく。




この少女の過去に、一体何があったのだろう。

彼女もまた、罪を犯したのだろうか。

こんなにも幼いのに?

それは、どんな罪だというんだ。



本当は、知りたい欲望がないわけではなかった。
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