君に許しのキスを
メールを作っていると、チャイムが鳴った。

教室内は、休み時間の空気を消し始め、扉が静かに開くと同時に、一切の音が消えた。

そして扉から、影で“鬼婆”と恐れられるベテラン数学教師、岩田百合子女史が入ってきた。


あたしは携帯を机に放り込み、代わりに教科書とノートを取り出した。



“鬼婆”岩田先生の授業中に携帯なんて、そんな命知らずな真似、出来るがわけない。


まあ、後でも大丈夫かな。


どこか強張った声の日直の号令に合わせて礼をしながら、そう思った。
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