君に許しのキスを
「ごめん。」


凜は唐突につぶやいた。


「妃奈ちゃんとあの人のこと、あれだけ言ったくせに。」


自分の心が読まれているようで、あたしは慌てて否定した。


「あたしのことは良いんだよ。
問題は凜の気持ち。
本当にあの人のこと、好きなの?」


凜は小さく首を横に振った。


「わからないの。
っていうか、“好き”っていうのが、どういうものか。
あの人がどうこうとかじゃなくて、その気持ち自体が。
けど、あの人がそばにいても、嫌じゃないの。
むしろ、安心する。
もっと一緒にいられたら、嬉しいだろうと思う。」
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