君に許しのキスを
凜、それは多分、もうあの人のことが好きなんだよ。

あたしもそうだったから、なんとなくわかる、ような気がした。


あたしは凜を見つめた。
彼女を抱きしめたい想いにかられて、その両手を、強く包み込んだ。

どうしてだか、あの日のように凜を抱きしめることは出来ずに。



これであたしの罪が、許された訳じゃない。
それとこれとは、まったく関係ないことも、
わかっている。

けれど、凜が男の人を好きになれた。
それが何だかとても感慨深くて、涙が出そうだった。


けれど、わかっている。
これで万事解決、という訳じゃないことも。
< 189 / 301 >

この作品をシェア

pagetop