君に許しのキスを
精一杯に、首を横に振った。

ふわり、と激しく振っていたあたしの頭に、手が載せられた。

この手が、この温かさが、言葉より雄弁に彼の想いを伝えてくれている気がする。

思えば、この短い間に何度この手に救われただろう。

ゆっくりと彼を見上げると、
うっすらと涙のにじんだ瞳で、あたしに微笑みかけてくれている。


あたしはこの人を、あたしがされているように、大切に出来ているのだろうか。
大切に出来るのだろうか。

けれど今は、この人の気持ちに、ただ応えたい。

本当の気持ちを、伝えたい。


「…すき…」
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