君に許しのキスを

─side洋平

「お疲れ様でーす。」

キッチンにいる人たちにそう言うと、バイト先のカラオケ屋を早足で出た。


俺はたいてい、深夜のシフトで出ているが、今日は教師の周と飲みに行くことにあわせ、早番での出勤にしていた。

周とは、週の学校の近くの居酒屋で飲む予定だ。


駅に向かいながら携帯を見ると、メールが来ていた。
周からだ。

『今日だから、忘れるなよ。』

顔文字も絵文字もない、一言だけ。
周らしいといえば周らしい。

他人への面倒見が良い割に、メールだとか女関係だとか、そういうちょっとした細かいことが苦手だ。


そういう周がいつまでも俺のことを気にかけているのは、当然といえば当然なのかもしれない。
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