君に許しのキスを
第9章―夜―

―side洋平

これは一体、どういうことだ。


どうして俺は、初対面の女子高生の一人暮らしするという部屋にいるんだ。
その上何故、この部屋のベッドに寝かされている女子高生と、茫然自失としている女子高生と、彼女達の学校の男性教師に囲まれているのか。


まったくもって、何をどう考えてみても、意味がわからない。



ただ一つだけはっきりしているのは、眠っている女子高生を見つめながら今にも泣き出しそうにしている女子高生。
その肩を抱き、慰めているその男性教師が、俺の兄の友人だということ。


彼は、彼が慰めている方の女子高生がさっき震えながら渡したタオルを首から下げている。


それは彼の顔やら服やらが濡れていたからだ。


そして、それはさっき降り出した雨のせいではない。
眠っている方の女子高生に、飲み物をかけられたのだ。

それは一応、未成年らしく、ノンアルコールのものだったみたいだが。



元々は、俺とその男性教師、周と居酒屋で飲んでいたはずだった。


そこの少し離れた席に彼女達がいたのだ。


そして、気づいたら女子高生がやって来て、何故か周に飲み物をかけた。



突然のことに驚く間もなく、女子高生は般若のように歪ませていた顔を、真っ白にさせ、その場に倒れ込んだ。



「どういうことだよ。」

俺は堪らず口を開いた。
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