潔癖彼女ノ憂鬱
 季夜は龍世の名前を聞いて安心したのか、極度の緊張と疲労も手伝って眠ってしまった。
 龍世はそんな彼女の頭を優しく撫でていた。

 眠る彼女は震えていない。その無防備な寝姿を前に、龍世は頭だけで我慢していた。

「無防備に寝やがって…襲っちまうぞ?」

 龍世のぼやきは彼女には届かない。
 静かな部屋で、小さな寝息がスースーと聴こえてくるだけだった。

―コンコン。

(―誰だ?
式は…まだ終わる時間じゃないな)

龍世は静かに仮眠室から出ると、抑揚の無い声で応えた。

「入れ」

ガチャ…

間も無く生徒会室に入って来たのは―…

見知らぬ黒髪の女だった。


< 23 / 28 >

この作品をシェア

pagetop