潔癖彼女ノ憂鬱
 季夜の体は震えていた。
 初めて彼女に触れた時も震えていた。

 まるで小動物が怯える様なその姿は、大抵の男ならグッときていただろう。

(なら、俺も普通の男だという事か…)

 その上、目をうるうるさせて見上げる様は最早、罠としか思えない。

 細い理性の糸は既に切れ掛かっている。

 抱き上げた時、体の軽い彼女は壊れ物みたいに頼りなく感じた。

 何故か無性に触れたくて堪らなくなった。

 はっきり言って、女に不自由したことは無い。
 言い寄って来る女は沢山いたし、一夜だけの関係も普通だった。
 美人な女も飽きるぐらい沢山見てきたし、見慣れていた。

 それに産まれてこのかた特定の女に興味なんて湧いた事は無い。
 その時、気持ち良ければ良かった。

なのにどうだろう、初めて会った筈の彼女に、惹かれ始めている。

小動物の様な可愛らしい、愛らしい彼女に。

< 22 / 28 >

この作品をシェア

pagetop