魑魅魍魎の菊
06.縁日ライラライ!!

素面ですけど



時はいよいよ夏休みに突入してしまっていた。なんとも面倒で低堕落な生活をすることは予測している正影は屋敷の縁側で横になり「涼」を貪るように感じていたのだ。



「正くんったら…。こんな所でゴロゴロしちゃって宿題終わったの?」

庭の方で水まきをしていた姉の「春菜」が呆れたように言い放つ。

「——…もう終わった、あんなの三日あれば終わる」



「うん。本当に私達兄弟なのかなって真剣に思うよお姉ちゃん」

春菜はいつも夏休みぎりぎりまで苦しんでいたらしい…。まぁ良い。この低堕落な弟をどうにかせねばならない。



「今日の縁日の準備したら?陰陽師のお仕事があるって…お父さんから聞いてたけど、」




「誠に不本意ながら」


ったく…。何で暑い中、俺が仕事せねばならないのか。そう思えば切りがない。

今日、近所の神社で縁日が行われるのだ。——ぶっちゃけそれだけなら良いが。




生憎、どこぞの馬鹿共がその帰りに墓地になど行って肝試しなど阿呆なことをしないように監視するのだ。


ぶっちゃけ結界や式神を使えば良いのだが…人間、何をしでかすか解らない生き物。
だから幾分自由の気が利く俺は仕事を任せられた。だが…ぶっちゃけ親父が面倒なだけだと思うだ。


あのオッサンこそ低堕落だと思うのは俺だけであろうか?



「もうそれよか、菊花ちゃん達も誘ったら?」

「——どうだろうな」



"菊花"は遊びとしてなら参加しそうだが、陰陽師の仕事を喜んで手伝うようにも思えない。

——…何より、俺は仕事とプライベートは分けたい。あの女がまた何かを起こさないかままならい。


嵐の前の静けさという奴か?ここ最近、あの「百鬼夜行」の音沙汰がないのだ。
あまりにも静か過ぎて、気味が悪いのだ。



(……面倒なことになりそうだな…)



「それじゃあっ♪私も浴衣出してこよー!」


 
< 267 / 401 >

この作品をシェア

pagetop