魑魅魍魎の菊
「どういう訳か鏡の子の未来が直前で変わったんだ。だから、俺は菊花ちゃんに知らせに来たんだよ」
「って、マジですかやっち?!」
「そうだよ菊花ちゃん。良かったね、こんな血塗れた仕事嫌っていたから俺も嬉しいよ」
「や、ヤッタ———!!!」
菊花が涙を流しそうな勢いで喜んだ途端、左腕の痛みが段々と鮮明になって体が崩れてしまう。
「お、おいっ……だったら、」
「だから、この百鬼夜行は終わったよ。鏡の子も滅されないし、君も殺されない。菊花ちゃんも対象妖怪を滅さなくても良い」
(良い主を持ったね鏡の子…)
俺は最後に囁いて、ジョンソンに跨がって来世に帰ったのだった。
それと同時なのであろうか、玖珂の妖怪と百鬼夜行の集団が一斉にやって来たのだ。そして、百鬼夜行の「烏天狗・鴉丸」が悲鳴にも似た叫び声を上げながら菊花に駆け寄る。
「ききき、菊花様ァァ!!何というお労しいお姿!!この鴉丸、一生の不覚でございます!」
「………鴉丸、煩い」
「で、ですが!!」
「…大丈夫か正影」
「あぁ…俺は無傷だ。スザクと毘沙門天殿は」
一つ気がかりになっていたを千影に問えば「二人共無事だ」と告げられ、ホっとし安堵の息を吐いた自分が居たのだ。
「——アイツ、俺が殺して良い菊花?」
すると、「ホムンクルスのリチャード」が鉄扇を構えるが全力疾走の気分で菊花は制した。
「お、落ち着けアンタ達——!!」