魑魅魍魎の菊
「アンタは死んでどうなるの?!残された多くの妖怪や友達、家族はどうなるのよ!!アンタの《能力》は数多くの人間や妖怪を助けることが出来る《光を統べる》ものなのよ!!」
だったら私はどうなるの——?
(そんなのは今の私には関係無い、)
「菊花ちゃんの言う通り、玖珂の若頭。君は凄い力を秘めた陰陽師なんだ、だからね……君を狙う輩は多いんだよ」
「——だったら、その大きな利益の為に鏡子を失うのか?!それは違うだろうが!家族が殺されそうになっているんだ、いくら後に俺が殺されそうになっていてもだ…
——家族を助ける理由なんて無いだろうが!」
俺達は知り合いでもなくて、友達でもない。《家族》なんだ。
それを助けるのに理由なんていらねぇんだよ。——大切な家族なんだよ。
「鏡子の帰る所は家なんだよ!!何処にも行かせねぇよ!!」
綺麗な化粧をした男に少しだけ、良いなと感じた菊花はフッと笑ったのだ。
夜行も優しげに笑いながら「安心しな」と声を掛ける。
「"未来"が変わったから、俺はここに来た」
——安心しな、鏡の子は未来じゃ元気に狐の子と遊んでるだけだったから。