甘い香り



「なんと...っ!ロメリア様が...
 それで、その...ロメリア様は?」

「あ、身の危険を感じたので伸してきました」

「伸す...?」

「あ、えっとぶん殴ってバラ園に突っ込んどきました」



あは、ローダンセの顔が引き攣ってるー。

まあ女子的ではないよね、うん。



「それで、避難ってどこへ?」

「ああ、そうでした...申し訳ございません。
 香りは移り香程度なので
 地下を通って離れの小城へ向かいます」

「はい...」



それからローダンセの後を追って地下を歩いた。

地下道は冷たく、ジメジメとした空気が漂う。


アスター...さっきまで、一緒にいたのに...。

あたし、どうなるのかな。

こんなことになるならさっき、

ちゃんと謝っておけばよかったな...。


さっき、抱き締めてもらったのに...

アスターの温もりは、どこかに消えていた。





< 180 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop