巡る巡る
賑やかだった教室も
だんだん静かになってきて、
日の暮れかかった今では
生徒はもう殆ど残っていなかった。
……高山君…っ。
教室に彼の姿はなかった。
高山君の席にはまだ鞄がかかっているから、帰ったわけではないはず。
…今なら…、
渡せるかな……。
そう思って、
ずっとしまっていた水色の包みを鞄から取り出した。
友達にあげるのはいつもクッキーだった。
料理が苦手なあたしは、ちゃんとしたチョコレートなんて作ったことなくて、
バレンタイン特集が載った雑誌なんかを買って、
慣れない手つきで、頑張って作った。
…受け取ってくれるかな…。
手に持ったそれを、
胸の前でギュッと抱いた。