刹那の憂い(セツナのウレい)
「って、何か取り込み中みたいだね」

「・・・ってほどでもないけど、助かった」

あたしは、微かな声で言った。

あたしは、ヒデタダが嫌いなだけじゃなく、苦手なのだ。

ああいう、図体のでかい人に、何となく、恐怖感がある。

それだけでも怖いのに、微妙に迫られたのだ。

刹那の背中に、妙に安心感を覚えても、仕方がない。

ヒデタダは、ゆったりと出てきて、刹那を見た。

「また、あんたか」

ヒデタダが、うんざりしたように言った。

あたしは、刹那の背中にすり寄った。

保護色になりたい。
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