刹那の憂い(セツナのウレい)
「また、って、えらい言われようだけど。・・・もしかして、襲われてたの?紫苑ちゃん」

「違~う!!」

「オレはただ、何でオレから逃げるのか、きいてただけだ」

「怖そうだね」

その通りだ。

刹那が振り返る。

「ヒデタダに、返事してあげたら?」

あたしは、恐る恐る刹那を見た。

いつも通りの柔和な横顔。

あたしはちょっとホッとしてしまう。

「怖い、から」

『嫌い』の変わりに、言った。


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