とおりゃんせ2~日村令子の場合~
「それって・・・奥さんのことですか?」
由里がそう言うと 金子は由里から少し目をそらしたが ゆっくりと頷いた
由里は言葉を放った後に 初対面の相手に失礼な事を言ってしまった気がして気まずく思った
「すみませんっっ!!私・・なんか余計なコト・・・」
「いや いいんだ・・・ 残された人間は 事実を受け入れていかなければならないんだ
いつまでも真実から目を背けていても 周りにいる人たちを傷つけてしまうだけだからね」
金子は2Fへと上っていく老婆に目をやりながら優しく微笑んだ
『ホントにいい人なんだ・・金子さんって』
由里が倒れた時に通りかかってくれたのが金子で良かったと 由里は心底思った
由里は 2Fへと上っていく老婆を目で追うと その階段の途中の壁に飾ってある 優しそうな女性の写真に目が止まった
『あの人が良枝さんかなぁ・・・』
金子は由里の視線の先が 良枝の写真で止まった事に気が付いた
「あれが・・2週間前に亡くなった・・オレの妻だよ」
『やっぱりそうか・・・』
由里は 金子の妻の写真をジッと見つめた
『わたしは・・この人の分も生きなきゃ・・・』