とおりゃんせ2~日村令子の場合~

由里は金子が 妻を助けられなかった事をずいぶんと悔やんでいるのだということだけは分かった

その思いが由里を助ける事に至ったのだとも思った

ふと由里は ある事が気になった


『そういえば 金子さんの奥さんも心臓マヒって言ってたよね・・・』


由里は思い切って金子に尋ねることにした



「あのっ 金子さんの奥さん・・って その・・・昔から心臓が悪かったんですか?」



突然の由里の質問だったが 金子は落ち着いて答えてくれた



「いや・・・良枝は健康そのものだった・・・まぁ・・・肉体的にはね!

医者は過労やストレスからもマヒは起こるって言ってたけど・・・その通りかもしれない・・・」



「そうですか・・・」



由里はなかなか『一番聞きたいこと』を切り出せずにいた


『良枝さんは子供を堕ろした事がありますか?・・・なんて聞けないよ!』


由里はモジモジした態度を隠すように アンティークで埋め尽くされている店内を見回した


店の中の品物は全て由里が欲しくなるような 洋風の趣味の良い家具や小物で綺麗に並べられていた


その中で特に由里の目を惹いたモノがあった


『ガラス・・・いや・・・クリスタルだよね・・・』


由里の瞳を固定させたその品物は 聖母が生まれたばかりの子供を優しく抱き包んでいる手のひらサイズの置物だった

由里はその優しい聖母の顔に釘付けになった

すると金子が また由里に話しをしだした


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