とおりゃんせ2~日村令子の場合~
女の子はおおはしゃぎで その女性の元へ駆けて行った



「あっ…危ないわよ!暗いから気を付けて!!」



しかし女の子には もう良枝のそんな忠告など聞こえていなかった


着物の女性は両腕を広げて 女の子が飛び込んでくるのを身をかがめて待っている


女の子は女性に向かって走る


しかし・・・良枝はあることに気付いた


女の子がどんなに一生懸命走っても 女性との距離が縮まらないのだ


女性は優しい笑顔で女の子を待っている


その温もりに向けて女の子も必死に走る・・・


女性は腕を広げて待っているが 身体はどんどん後ろへ吸い込まれるかのように移動している


一生懸命に走る女の子


どんなに走っても走っても追い付く事はない…

それでも女の子には、追いかける道しか残っていない。

いつまでこの追いかけっこが続くのか…


良枝が口を半分開けてその光景を眺めている間に 女の子とその薄い灯りはどこか遠くの方へ行ってしまった

良枝はいよいよ1人になった



「いやだわ・・・こんなところ・・・お願い・・誰か出してちょうだい!お願いよ・・・私が何をしたというの・・・真面目に生きてきたじゃない・・・辛いことばかりで・・・でも・・・必死に生きてきたのよ・・・」



良枝は暗闇の中に1人・・・がっくりと膝を落とした

地面と呼べるものかどうかさえも分からなかったが 膝を落とした場所に更に両手をつき頭を垂れた

すると良枝が調度頭を垂れた辺りから ボヤッとした光が灯しだした



「今度はいったい何かしら・・・」
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