とおりゃんせ2~日村令子の場合~
この暗闇の中 良枝はその灯りを見るしかなかった
それだけが良枝に残された希望だった
良枝は灯りの中をじっ見つめた
するとその灯りの中は良枝のとてもよく知っている場所が映っていた
「ここは・・・私と主人の店・・・」
キチンと並べられ 磨き上げられたアンティークは良枝が生きていた頃のままだった
良枝のお気に入りのクリスタルの置物は・・・
「あった!・・・あったわ!!」
子供を諦めてまで 必死になってやり抜いてきた 夫婦の生きた結晶がそこにはあった
「そう・・・そうね・・・色々あったけどあの人が私の思いも継いでくれてる・・・
私はそれを見守っていけるだけで・・・それだけでいい・・・
はぁ・・・良かったわ・・・何もかも無事で・・・」
良枝は心からそう思った
とそこに 夫の母親が帰ってきた
「お義母さま・・・ お義母さまにもつらく当たられたわね・・・ 子供が産めなくて・・・
中絶した事がバレた時には もの凄い剣幕でお怒りになったわね・・・
でも・・もう・・・ これからは子供の事でお義母さまに責められる事もないんだわ・・・
もう・・・終わったのよね・・・全部・・・」
良枝がそう思っていると 義母が誰かを連れてきた事に気が付いた