破天コウ!
 ホームルームを行う教室へは彼らが案内するから、全員後ろに付いてきてくれ、みたいな話をしていた。

 バスを降りてからも先程の出来事に考えを巡らせていたおれは、それを超絶に後悔することと相成った。

 前のやつらにただ付いていけばいいやと思っていたおれは、気付けばキャンパス内を独りで歩いていることに気付いた。

 何のことはない、考えに耽っている間に、みなさんは目的地へと誘導され、おれは同じクラスがそぞろ歩く集団からはぐれていたわけである。

 面倒臭がりのおれは入試や入学の前において下見をなんてことをしているはずは勿論なく、このキャンパスは初めて訪れたのとほぼ同義である。

 キャンパス内の地図なんて持ってきていない、というか、ホームルームを行う建物の名前をバスの中で何度も上級生が声高に叫んでいたが、おれはどこ吹く風状態だったので、その名前を全く覚えていない。断言しよう、さっぱり覚えていない。

 更に面白い話がある。おれには天才的な、ある才能があった。

 そう、完全無欠、その能力を与えたもうた神様ですら驚嘆させしめるかもしれない程の方向音痴なのである。これは、人に胸を張って自慢できる、おれの数少ないものの内の一つなのだ。
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