第七世界
「私が鷹威君を止めていれば、傷つくことはなかったんです」

「君は悪くないよ。この馬鹿が注意も聞かずに突っ込んだんだろう?」

「怪我の具合も見たいですし、何と言おうと私にも責任があるんです」

「じゃあ、この馬鹿を保健室まで頼むよ。私は君の担任に報告しておく」

「私一人で運ぶんですか?」

「君は自分に責任があると思っている。だったら、償いは必要だ」

「そんな」

「ほら、さっさと運ぶ」

「先生が運んでくれると思ってた」

自分の責任だと言っていた割に、他人に任せようとする佳那美の子供っぽさに、楓は嘆息するしかなかった。

佳那美が恭耶の体を持ち上げようとする。

「重い」

「恭耶はガタイがいいからな、そこらのガキより体重がある」

「先生、手伝ってください」

「時間のようだ。後は頼んだぞ」

面倒ごとを避けるために楓は逃亡した。

「待ってくださいよお」

一人残された佳那美は、途方に暮れる。

「良い方法ないかな」

周囲に道具がないか見渡すと、左の方に都合がよくリアカーが放置してある。

「神の思し召しよね」

リアカーに恭耶を積み込む作業は苦労したが、その後は何事もなく事が進む。

佳那美は鼻歌混じりに保健室に向かった。
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