第七世界
俺と刹那の近所迷惑なやり取りが続いた数分後。

救急車がサイレンを鳴らしながら、家の前で止まった。

痛いのは確かだが歩けるし、運ばれるほど重傷ではないので呼ぶ必要はない。

だが、余計な事を言って殴られると、本当に病院送りになってしまう。

チャイムが鳴ると、刹那が素早く動く。

「ちょう、待っててなー」

「いや、俺が行く」

立ち上がるだけでも、痛みが内臓に響く。

「何でやの?担架で運ばれた方が楽やろ」

「身動きとれねえほどヤワじゃねえんだよ」

「そんな我が侭言わんと、今はボクの言う事聞いときや」

「上から言われて、俺が聞くと思ってるのかよ?」

「ふうん、そないか」

突如、ローキックで膝を打ち、折れたところで顔面に掌底を打ち込む。

「ごわ!」

俺は後方に吹っ飛び、床に頭をぶつけた。

「まあ、これで見た目も立派な怪我人や」

「お前、我が侭なのは胸のなさと背の高さだけにしておけ」

「あ、頭にハエとまってんで」

さっき床に頭をぶつけたばかりなのに、更に拳骨でトドメを刺す。

「よしよし、じっとしときや」

俺は返答出来なかった。

それもそのはず、すでに気を失っていたからである。

医者に何と言われようとも、屍の如く何も言えないだろう。
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