初恋心
「乗れよ。」


橋田夏弥はそう短く言って、私をバイクの後ろへと促した。


はぁ!?


「困ります!!さっきから何なんですか?」


同じ学年なのに敬語ではあるけど、私もだんだんと強気になってきた。




「ん~...何なのって言われてもねぇ。

もういいや、メット返して。」


あれ?意外とあっさりだなぁ...。


そう思ったのに、橋田夏弥の近くに行ってヘルメットを手渡す瞬間、手首をまたグッと引っ張られて引き寄せられ、そのまま持ち上げられて後ろの席に乗せられた。


そして橋田夏弥も素早くバイクに跨って、エンジンをかけた。


「ちょっと!!待っ」


「あっ、メットつけろよ?」


私の抵抗も無視してそう言われ、橋田夏弥はいきなりバイクを走らせた。


「ひゃっ!!」


バイクの後ろに乗るのなんて初めてで、私は変な声を上げてしまった。そして咄嗟に橋田夏弥の腰に手を回した。
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