そこから先は
「そういう事は全くありませんでした。むしろ優しかった…」



刑事は小春の話にうなずきながら、警察手帳に何やら書き込んでいる。



「じゃあ、ちょっと聞きにくいんだけど…男に何かされたという事もなかったのかな?」


「それもありません」



小春はキッパリと言った。



「自力で逃げ出そうとは思わなかった?」


「はい。そんな風に思った事は一度もありません」


「逃げたら、男に何か仕返しをされると思ったから?」


「違います」


「じゃあ、どうして?」











「幸せだったからです」












小春は真っ直ぐに刑事の目を見ながら微笑んだ。



この時の小春の笑顔は、病室にいる刑事たちが動けなくなるくらいに美しかった………
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