そこから先は
        *



「誘拐?!」



アキの顔から血の気がすーっと引いていった。



アンリはショックのあまり言葉を発する事も出来ないようだ。



「あぁ…遊びに行った帰りにさらわれたんじゃないだろうか」



岡部は辛そうな表情で言った。



自分では何も出来ないという悔しい思いもあるのだろう。



小春の家族からは口止めされていたが、やはりこの2人には言っておこうと思ったのも、自分には出来ないこともこの2人になら出来るかもしれないという思いからだ。



「帰り…」



アンリがほとんど聞こえないくらい小さな声でつぶやいた。



それをかろうじて聞き取ったアキと岡部は、アンリの方にすっと顔を向けた。



「あたしがあの日、ハルを誘ったりしなかったらこんな事にはならなかったのに…


あたしが電話なんてしなければハルは誘拐なんてされなかった。


アイツにもしものことがあったらどうしよう…


全部あたしのせいだ…」



アンリの目から涙は出ていなかった。



ただ、目の焦点が少しおかしいように見える。



あまりに重い罪悪感のせいなのだろうか…
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