Tactic
「え~と、萌チャン。一言一言キツイね~」


「そ?私、甘っちょろい男って嫌いなの。どーせあんた……」


「安司」


「……安司くん、部活とかしないで毎日遊んでばっかなんでしょ?」


二人のやり取りにハラハラしながら、私は何もできずにいた。


そのとき


「ぶはっ……お前ら、なんなんだよ。面白ぇ~」

耐えていた智也は、腹を抱えるようにして笑っている。

そんな智也の姿を見て、私は驚きを隠せない。


「なんだよ、智也!んな、笑うなっつーの。俺は真面目に……」

相馬くんがすかさず言葉を紡ぐ。


「案外、似合ってるのかも。なぁ?」

金色の髪がなびいて、私の顔を下から覗くその姿に、胸は締め付けられる。


久しぶりに見た、智也の笑顔。


私に向ける笑みと言葉に、私は自然と唇をほころばせた。
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