Tactic

side智也

ポケットに手を突っ込みながらゆっくりと階段を降りた。


背後からトーコの視線が突き刺さる。


駄目だ。


振り向いたら……俺は一瞬でこの手の中へとトーコを引き込み、抱きしめてしまうだろう。


己の欲望の為に、嫌がるトーコの衣服を無理矢理剥がし……


自分の物にしてしまうかもしれない。


絶対に……振り向かない。


階段を全て降りた後で俺は、目を閉じ唇を噛み締めた。
< 33 / 305 >

この作品をシェア

pagetop