Tactic
「なぁ、トーコ。聞いてもいいか?」


「なにを?」


返事をしながらも、トーコの視線は俺じゃなく、夜空から降る雪。

その視線を、俺へと向けてほしい。


雪じゃなくて俺に。


兄貴じゃなくて……俺に。




「なんで今日、来てくれた?兄貴いないこと……知ってたんだろ?」


突然の俺の言葉に、トーコは言葉を見失っていた。

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