【密フェチ】伝票に、恋と君の笑顔と…
「すぐ書きますね!」

 足音を鳴らしながらやってきた彼女は、せっかく自制したにもかかわらず、いとも簡単に防御壁を打ち砕く。

 ふわりと舞う髪の隙間から漂う、少し甘い香り。

香りをまとったその手にはボールペンが握られ、まるで音符を並べるかのように丸みを帯びた文字が綴られる。

「あ」

 彼女の小さな悲鳴になんとなく覗き込むと、掌を見つめて肩を落としている。

細い指の付け根に付着したインク。

ゾクリと背筋を震わせるほど、妖艶。

 滑らかな肌に舌を這わせたい。

その時はくすぐったいくらいほんの少し力を入れる。

そうして、彼女の口から思わずこぼれた吐息を飲み込みたい。
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