【密フェチ】伝票に、恋と君の笑顔と…
「すみません、一か所宛先がないんですが」

 ちらりと顔を上げれば慌てて彼女は「ウソ、ごめんなさい!」としおらしく頭を下げる。

「少し待っててくださいね!」

 そう残して彼女は部屋の奥へと消えた。


 たまらず息を吐き出して、溢れ出しそうな衝動を抑え込む。


あの滑るような肌にほんの少しでも触れるだけで、心臓が狂いだす。

踊るような指先を見つめるだけで、痕が残るくらい握りしめたくなる。

ほんのり色づいた爪を立てて、この身に後生消えないほどの傷が欲しくなる。


 そんなドス黒い感情を、あの真っ白な彼女に悟られたくはない。
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