セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
我に返った
私は


恥ずかしくなって
その場から離れた



「 おい…!」



後ろに
ケイの声を
聞きながら


その声を
降り払うように
店を出る


こんなネックレスも


こんなピアスも
服も
メイクも



いらなかったんだ



痛いのを我慢して
履いたピンヒールも



私は靴を脱いで
素足でアスファルトを歩く


日中の熱を吸収した
コールタールが


まだひっそりと
温かい




あの女の人の
ヌーディーな顔
がちらついて



…勝手に
想像して

勘違いしてた自分が



馬鹿みたい
だった


気のぬけたように
とぼとぼと裸足で歩く私を



すれ違う
おじさんが
好奇の目で



私を舐めるように
下から上まで
見る


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