先生の秘密は恋の予感
佳奈実が上手そうにパンを食べていた。



「佳奈実、パンうまいか。俺にも一つくれ。」


佳奈実がプイと横を向いた。



「やだ、本城にはあげない嘘つきだから。」



俺が嘘つき?


「俺がいつ嘘ついたんだよ。」



「さっきはなんでキスしたの?彼女の代わり。彼女とうまくいってないからって、代わりにキスするなんて、最低だよ。この浮気男。」



あ、そうでした。



「違うんだよ。あれは違う。嘘なんかじゃなくて。」


嘘じゃなくて、なんて言えば良いのか。



「嘘じゃないなら、なんでキスしたか教えてよ。」



ここで本当の事は言えない。



「それは佳奈実が可愛いくてついだな、しちゃったみたいな。」


俺は何を言ってるんだ。



「本城なんかに聞くんじゃなかった、本当に最低。」



佳奈実ごめん、今は本当の事は言えないから。



「佳奈実に俺も佳奈実にキスしたの覚えてる?」



「加東が私にキスしたの?」



「ああしたよ。忘れたのかよ。」



「ごめん、なんで忘れたのかなぁ。 」



加東にされたキスは忘れたのに、俺のキスは忘れなかって事は、佳奈実、俺は少し期待していいのか。



佳奈実も俺の事を少しは思っていてくれてるって、思っても良いかな。


本当にそうなら、かなり嬉しい。











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