しなやかな腕の祈り
お母さんは、あたしを身ごもってバイレをやめた。『またいつか、絶対に』そんな気持ちで、涙を飲んでやめた。お母さんは、とことんまでプロを目指していたのだ。どれだけ時間がかかっても…と、夢に忠実な女だった。この時、お母さんは今のあたしと同じ歳、20歳だった。
あたしがフラメンコをしたいと言い出したのは2歳半の時で、スペインをモチーフにしたテーマパークに父と三人で訪れた時だったと言う。お母さんとパレードでブレリアスを踊る人たちを見ていた時、拙い言葉で
「たぁちゃんも、する」
そう言ったらしい。
お母さんは、嬉しかった。もし、自分が夢を叶えることができなくても、この子が叶えてくれるかも知れないと思ったからだと。
小さな子供でもしっかり教えてくれる教室を方々探した。少しくらい遠くても、あたしの気持ちを大切に…やりたいと思うことは何でもさせてあげたかった、とお母さんは言った。結局、隣町にあった教室の先生に『3歳になったら見てあげるから』と返事を貰って、あたしはめでたくバイラオーラとしての人生を始められたのだ。
あたしがフラメンコをしたいと言い出したのは2歳半の時で、スペインをモチーフにしたテーマパークに父と三人で訪れた時だったと言う。お母さんとパレードでブレリアスを踊る人たちを見ていた時、拙い言葉で
「たぁちゃんも、する」
そう言ったらしい。
お母さんは、嬉しかった。もし、自分が夢を叶えることができなくても、この子が叶えてくれるかも知れないと思ったからだと。
小さな子供でもしっかり教えてくれる教室を方々探した。少しくらい遠くても、あたしの気持ちを大切に…やりたいと思うことは何でもさせてあげたかった、とお母さんは言った。結局、隣町にあった教室の先生に『3歳になったら見てあげるから』と返事を貰って、あたしはめでたくバイラオーラとしての人生を始められたのだ。