しなやかな腕の祈り
踊り出してしまえば、必死な部分は消え去った。精一杯指先まで神経を伸ばして、的確にサパティアートを打って、力強くハレオを上げてファンダンゴ独自の足取りで回っていける。



あたしだって、これでも17年もバイレを続けてきたんだ。編成されたクラスの中では第一舞踏手にもなれた。上手くなくても、あたしはバイレを愛してきた。1日だって練習を怠ったことない。そんな意地が出て来た。


ラストの5回連続回転まで、あっという間だった。足取りは軽くて、あたしはノーミスで踊りきり最後のハレオを上げた。




拍手が起きた。お母さんも、満面の笑顔で拍手をくれた。



「さすが!!あたしの娘は違うね」



自慢そうな顔を見たら、幸せな気分になった。





帰り道、お母さんは昔の事を一つだけ話してくれた。


あたしがフラメンコを始めた時の事だ。
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